今季のNFLを盛り上げた要素の1つに、「ドラフト1巡指名QBの活躍」が挙げられると思います。「バックアップだったけど、短い時間や消化試合で輝きを見せた」ということではなく、先発QBの座をしっかり勝ち取ったのだから大したものです。
NFL公式サイトの記事で、「4年以内のQBをランキング」というテーマが面白かったので、紹介します。データというより、 Gregg Rosenthal氏の私見としてのランキングです。異論もあるかもしれませんが、それも含めてお楽しみください!
(この記事から、一部を抜粋して紹介します。以下の英文は、引用したものです)
THE FUTURE OF THE LEAGUE(リーグの未来)
1位:パトリック・マホームズ(チーフス)
2位:ベイカー・メイフィールド(ブラウンズ)
3位:カーソン・ウェンツ(イーグルス)
4位:デショーン・ワトソン(テキサンズ)
5位:ジャレッド・ゴフ(ラムズ)
6位:サム・ダーナルド(ジェッツ)
The closest historical comparison to what Mahomes is accomplishing at age 23 is probably Dan Marino's 1984 MVP campaign. There are echoes of Kurt Warner's 1999 season, when he emerged as a fresh leader of a cutting-edge offense, although Warner's path up to that point couldn't have been much more different from Mahomes'. While Mahomes possesses a level of athleticism that would have been difficult to imagine 34 years ago, he's keeping the company of Hall of Famers. It's amazing how quickly and how high he's raised the bar.
(*cutting-edge=最先端の/couldn't have been much more different from=それ以上違っていることができない→全く違っていた、正反対だった/raised the bar=水準を引き上げる)
23歳のマホームズが成し遂げつつあることに、最も近い過去の例は、ダン・マリーノが1984年(キャリア2年目)にMVPを取った時の活躍だろう。似た例としては、カート・ワーナーの1999年を挙げてもいい(41TD:13INT)。ワーナーの先発QBへの昇格ルートはマホームズとは全く違うものではあったが(※)、彼も最先端のオフェンスを率いる若きリーダーだった。マホームズが持っている身体能力は34年前の常識では想像できないレベルかもしれないが、殿堂入り選手のような活躍を見せている点では比較できる。QBができることの水準を、マホームズは驚くほど早く、驚くほど高く引き上げた。
(※訳注:ワーナーは1999年のプレシーズンの時点では、第3QBだったようです。)
The rest of this tier was tougher to sort out, but Mayfield gets the edge over the rest of the pack because he's further advanced as a rookie than Wentz, Watson or Goff were. The ceiling is higher, which feels strange to write when a physical freak like Wentz is listed next.
(*ceiling=天井、最高限度)
マホームズ以下の、このグループの選手たちのランク付けは難しい。しかし、メイフィールドを2位にしたのは、ウェンツ、ワトソン、ゴフのルーキーシーズンと比べてはるかにいいシーズンを送っているからだ。選手としてのポテンシャルも上と見る。3位にしたウェンツの化け物じみたフィジカルを考慮すると、その判断は奇妙にも思うが。
(※以下、概略のみ記します)
・ウェンツが、「ケガをしやすい選手」かはまだ判断できない。同じ箇所のケガを繰り返しているわけではない。パスの正確性に疑問はあるが、彼はすでにチャンピオンレベルのチームを率いた実績がある。
・ワトソンは、ルーキーシーズンのACL断裂から復帰した今季、プレースタイルをアジャストしており、調整能力の高さが分かる。
・ゴフはルーキーシーズンをHCジェフ・フィッシャーの元で送ったが、能力を過小評価された。現HCショーン・マクベイの能力とゴフの能力を分けて考えようとするのはあまり意味がない。彼らはこれからキャリアを共にするだろうからだ。
・ダーナルドは、有能なコーチと出会うことが必要。
STARTERS(先発QB)
7位:ダク・プレスコット(カウボーイズ)
8位:ジェイミス・ウィンストン(バッカニアーズ)
9位:マーカス・マリオタ(タイタンズ)
Even if Prescott, a fourth-round pick in 2016, didn't improve for the rest of his career, he'd be among the draft's best quarterback values of the decade. Whether Prescott's career more closely mirrors Russell Wilson's, Kirk Cousins' or something lesser is a matter of much debate between lovers of football with opinions. Dak played like a top-10 quarterback as a rookie, then more like a league-average starter over the last two. Even a league-average starting quarterback is worth quite a bit, especially on a team where the owner often overpays his stars.
2016年のドラフト4巡指名のプレスコットが、今後のキャリアで特に成長しなかったとしても、この10年のドラフトのなかで最高クラスの掘り出し物だったとは言えるだろう。今後のプレスコットの価値がラッセル・ウィルソン級なのか、カーク・カズンズ級なのか、または彼らよりも劣ることになるのかは、フットボールを批評するのが好きな人たちの間で、格好の議題になるだろう。ダクはルーキーシーズンにリーグトップ10に値するプレーを見せ、その後の2シーズンはスターターとして平均レベルだ。ただし、平均レベルの先発QBは貴重だと言っていい。オーナーがスター選手に年棒を払いすぎる傾向がある場合には特にそうだろう。
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Winston, who is younger than Prescott, has arrived at a similar playing level via a much different route. Winston's year-end rankings in the QB Index were No. 17 and No. 15 over the last two years. My friend and colleague Chris Wesseling would say that I've overrated Winston since he entered the league, and Wess would be right so far. Winston's suspension to start the season raises even larger questions about his long-term viability. For now, he seems likely to remain in Tampa on the fifth-year option under a new head coach because NFL teams just don't let young mid-tier starting quarterbacks walk away.
プレスコットより若い(ドラフトは1年早いが、年齢は下)ウィンストンは、ルートは違うものの似たレベルのプレーを見せてきた。私の「QB Index」のシーズン終了時のランキングでは、ルーキーシーズンで17位、続く2年は連続で15位にしている。同僚記者のChris Wesselingは、私がウィンストンをプロ入り以来過大評価していると言うが、今季これまでを見れば彼の意見の方が正しそうだ。ウィンストンの今季の出場停止を考慮すると、今後のキャリアへの疑問はさらに増してくる。
現状では、ウィンストンは5年目オプションで来季のタンパベイで新しいHC(※)のもとプレーするように思われる。NFLのチームは、若くてリーグ平均レベルの実力があるQBを手放すことはしないものだ。
(※訳注:現HCダーク・コエッターは解任との評判もありますが、現時点それが決まっているわけではありません)
Tennessee will have a similarly complex decision to make regarding Mariota after 2019. After an uneven first season with new coordinator Matt LaFleur, the organization seems likely to want to see more passing success before investing a contract worthy of an established veteran starter.
テネシーはマリオタを2019年以降どうするかについて、(ウィンストンのケースと)同じような難しい判断を迫られるだろう。新任1年目だったオフェンシブコーディネーターのマット・ラフルールのもと、今季のマリオタは不安定で、チームとしてはより安定したパスゲームができることを確認してから、中堅QBに値する契約を結びたいと望むだろう。
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鯖缶より:QBの能力を比べるのは難しいもので、例えば各チームのOLの実力次第でQBのパフォーマンスは変わるからです。ディフェンス力、ラン攻撃が出せるかどうか、OCの能力や相性などでも当然変わってきます。
だから、QB個人の力を比較するのはあまり意味がないとも言えますが、だからこそ面白いですよね。ある程度の年数になれば、「どれだけチームを勝たせてきたか」で比べられますが、若手ともなるとそれも難しいので、この元記事のように、誰かの「目利き」「独断と偏見」で決めるしかないのかもしれません。(記者のGregg Rosenthal氏は、何年も毎週「QBindex」を書いている人です)
記者本人が認めているように、ウィンストンの順位はファンの認識より高いようにも感じますが、そこもまた面白いところ。2年後にもう一度考え直せば、まったく違った順位が出てくる気がします。
あと、僕が個人的に面白いな、と思うのは「パッと見の実力が同じ程度なら、潜在能力の高そうな新人を上の順位にする」という考え方です。プレスコットはすでにある程度の実績を残したQBと思いますが、「エリートQBになれる可能性としては、メイフィールド、ダーナルドの方が上」と見ているということでしょう。
元記事では、マリオタ以降を「I DON'T KNOW ANYTHING(私にはまだ分からない)」というグループで、10位ジョシュ・ローゼン、11位ラマー・ジャクソン、12位ミッチェル・トゥルビスキー、13位ジョシュ・アレン、14位ニック・ムレンズ、15位ジャコビー・ブリセットの名を挙げています。ぜひ、元記事もチェックしてみてください。
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(あわせてこちらもどうぞ。現役QBの今後の活躍を占う記事を紹介しました↓)
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