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【2021NFLマッチレビュー】week8 ペイトリオッツ@チャージャーズ

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ペイトリオッツはLAに乗り込み、チャージャーズに見事勝利。今季の通算成績を4勝4敗とし、AFC全体で8位に順位を上げました。プレーオフ進出の有力候補と言える相手を、アウェーで倒した1勝です。ファンに希望を与えた週末となりました。


【観戦メモ】

・エイドリアン・フィリップス、古巣に恩返し

セーフティのフィリップスが2INTの大活躍。最初の1つは前半2ミニッツ(4点ビハインドからボールを取り返し、その後ペイトリオッツFG)、もう1つは4Qで逆転リターンTDに結びつけたものですから、まさに値千金の活躍でした。フィリップスとしては2019シーズンまで在籍したチャージャーズに「恩返し」を果たした格好です。(2018にはスペシャルチーマーとしてオールプロ選出)


この試合では、ディフェンスがチャージャーズQBハーバートを気持ちよくプレーさせなかったことが勝利につながりました。すでにリーグのトップ10と言っても過言ではないQBを、18/35(51.4%)のパス成功、223ヤードに留めたのですから見事と言っていいと思います。


4Q最後にTDを返され、オンサイドキックの機会を与えてしまいましたが、蹴られたボールを抑えたのはTEハンター・ヘンリーでした。昨季までチャージャーズにいたヘンリーは1レシーブ(33ヤード)に留まりましたが、最後に見せ場が回ってきたのでしょう。

 


・気づいたら10点差になってんのよ

決して楽な勝利ではありませんでした。オフェンスでは、4ヤード地点での1st&goalから無得点、ハリスのTDと思われたシーンがホールディングのペナルティで帳消し、ボーンのファンブルもありました。QBマック・ジョーンズも、パス成功が35本中18本。パスラッシュのプレッシャーを感じ取っていたのか、正確さを欠く内容でした。


ディフェンスも、前半最初のドライブはスクラムのように押し込まれTDを喫し(ディフェンスのユニットとしては一番屈辱的なやられ方かもしれません)、その後も70ヤード越えのランを許してしまい、ディフェンスが優位に立てたのは3Q以降だったと思います。


攻守とも「互角と言えるかどうか」の内容でしたが、それでも、「相手が勝ちを譲ってくれた」と言う以上に、手応えを感じた勝利と言えると思います。それは、「試合の中で勝ち筋を見出す」+「勝負どころで決めるべきプレーを決める」というペイトリオッツらしい強さを出せたからです。


僕の印象では、ブレイディ時代のペイトリオッツも、毎試合相手を圧倒して勝っていたわけではなく、「ミスを避け互角の攻防を続ける」→「4Qの入り口ぐらいで試合ベストのドライブを出す」→「気づいたら2ポゼッション差」という展開が多かった気がします。


この試合では、お互い決め手を出せない印象の3Qで、ペイトリオッツ16点対チャージャーズ17点の1点ビハインドで4Qに入りました。ペイトリオッツの攻撃は、自陣34ヤード地点での3rd&1で出したランを止められ、パントに追い込まれます。しかし、ここでベイリーが敵陣5ヤード地点に落とす見事なパント。チャージャーズのリターン時にペナルティを誘います。ハーバートに6ヤード地点でボールを持たせることに成功しました。


チャージャーズとしても、1点リードであっても苦しい試合展開で、「早く点を取って優位に立ちたい」と思っていたでしょう。このドライブの2回目の3rd9で、ハーバートは痛恨のピック6を喫するのです。フィリップスのリターンTDで22対17。


5点リードですから、当然ボーナスポイントは2点を狙います。マック・ジョーンズからジャコビー・マイヤーズに通して24対17。あっという間に7点差。次はディフェンスがチャージャーズの攻撃を3&OUTに追い込みます。2シリーズ連続でディフェンスの勝ち。あきらかにハーバートはやりにくそうでした。まだポケットは崩れきってないのに、焦って不正確なパスを投げてしまった印象です。


残り9分15秒。24対17の7点リードのペイトリオッツボール。ここでペイトリオッツオフェンスはこの日ベストのドライブを見せます。時間を7分近く潰し、チャージャーズにタイムアウト3回使わせてFGゴールで10点差。事実上試合を決めてしまいました。


ドライブは自陣34ヤード地点からスタート。ラン、ラン、QBスニークでファーストダウン更新。次も中央のラン。46ヤード地点での2nd&9でプレーアクションからマイヤーズへのパスで17ヤードゲインしました。このプレーアクションはローリスク・ハイリターンで、ものすごく効率のいいコールだった気がします。チャージャーズとしては、「そろそろパスが来るかも」と思っていたとしても、「ランだけは絶対に止めなくてはいけない状況」でした。サードダウンロングになってからパスを使うよりも、セカンドダウンのプレーアクションの方が成功確率が高いのは当然でしょう。


パスをキャッチしたマイヤーズは、アウトオブバウンズには出ずに、インバウンズでプレーを終えます。次のプレー(外へのランで1ヤードゲイン)でも、ハリスは同様に外に出ません。当然、「時間をできるだけ使う」意識です。試合は残り時間5分を切っていない状況なので、外に出たとしても、実はそれほど時間消費は変わらないのですが(※ボールが戻されたらゲームクロックは再度動き始めるので)、チャージャーズの立場としては「嫌なプレー」だったでしょう。そして、2nd&9でまたもプレーアクションからハリーへのパス。これも、「わかっていても止めにくい」嫌なコールだったはず。 


たぶん狙ってのことだと思うのですが、このプレー(その前のプレーも)、プレークロック10秒ほど残してる時点でスナップしていて、そのことも「ローリスク・ハイリターン」の効率のいい攻め方に思えました。「インバウンドでプレー止めやがった。時間使われる、ヤバい」と思ってる状況で、時間ギリギリではなく少し早いタイミングでプレーを開始したのです。失敗したら10秒損しますが、それで相手の判断力を0.5秒遅らせたらかなり割のいい取引ではないでしょうか。WRニキール・ハリーは、4ヤードほどの大きなセパレーションを得て、マック・ジョーンズに投げやすい状況を用意しました。


これで22ヤード地点。FG成功はかなり確実な状況です。1st&10で中央のラン。2nd&10でパスをするのですが、これも成功。今度は、プレークロック13秒ぐらいのやや早いタイミングでのスナップ、RBへのハンドオフのフェイクを挟まずにアガロアへのパス、と少しだけ変化させました。それほど遂行は難しくなくても、効果はしっかりある攻撃の運び方だった気がします。3rd&1ではラインマンを増やしてランを見せつつ、ショートパス。このドライブ4回目のファーストダウン更新です。


11ヤード地点、残り3分19秒の1st&10。もう工夫は不要です。「ファンブルしなければ勝ち」ですから。3回ラン。FGをしっかり決めました。1つ1つは難しくないプレーの積み重ねですが、相手の嫌がることを確実にやる、いかにもペイトリオッツらしいドライブで、「これが見たかったのよ」と思わずニヤニヤした(性格の悪い)ペイトリオッツファンもたくさんいたんじゃないでしょうか。少なくとも僕は、「リードしてる試合でうまく時間を潰す」シーンを見るのはめちゃくちゃ好きです。見られてうれしかった。


・おまけ(僕の当日のツイートを貼り付けておきます)

 

スタッツ見て驚いたのですが、オルシェフスキーは4回のパントリターンで80ヤード、平均20ヤードをゲインしていたらしいです。逆転INTの状況を作ったパント、フォークはFG4/4(うち2本は48ヤード)と、スペシャルチームもかなりいい仕事をした試合でした。ベリチックは口にしないでしょうが、「どうだ、見たか」と思ったことでしょう。


【英文記事より】

New England Patriots Postgame Quotes 10/31

(ペイトリオッツ公式サイト記事より。英文部分は引用です。訳は当ブログで用意しました。ぜひ引用元で全文をチェックしてください)


(試合直後記者会見にて。QBマック・ジョーンズ、自身のパフォーマンスについて聞かれてのコメント)

I definitely didn't have my best day at all. I think everyone around me had a great day, that's what football is all about. I have to find ways to improve in that aspect of just being consistent and making the throws I know I can make.

僕にとっては、まったくベストとは言えない日だった。僕の仲間の選手たちは素晴らしい出来だった。それがフットボールにとって大切なことだ。プレーの質を安定させて、自分が決められるパスを決めるという面で、修正しなくてはいけない。

 

The offensive line did a great job of keeping me clean. The receivers were getting open, and the backs were running hard and protecting — same thing with the tight ends, they were getting open. You have to watch the film and look at the X's and O's of it. 
オフェンスラインは素晴らしいプレーで、僕をクリーンに守ってくれた。レシーバーはオープンになり、RBは懸命に走り、そしてプロテクションの役目も果たした。TEもそうだ。彼らもオープンになった。フィルムを見て、攻守の動きを確認したらわかると思う。

(※訳注:X's and O's=「×」と「〇」、バツとマルの印のこと。アメフトの攻守のフォーメーション、選手の動きを示した図のことです。「物事の成り行きとその背景」のような意味で、アメフト以外でも使われることもあるようです)
 

But, I think the overall message is just keep playing. It's not always going to be perfect. For me, sometimes, that's really hard because I want it to be better than that because I feel like it falls on my hands a lot because that's what the quarterback is, which is a good thing. But I can definitely play better, and I'll put that on me. 
でも、とにかく重要なことは、どんな状況でもプレーし続けることだ。いつも完璧にうまくいくようなことはない。そのことは、時々ひどくツラく感じるよ。だって、僕はその不完全な状況よりもよくなりたいし、僕の肩には多くの責任が課せられてるし、それがQBだからだ。でも役割が重要なのはいいことだ。僕はもっといいプレーが絶対にできるはずだし、その役割から逃げたくはない。

 

Everyone around me did a great job; special teams, defense played great. I think we just played together and didn't quit. The effort was there. The guys around me played well, so that's all there is to it.

仲間たちはみんないい仕事をした。スペシャルチームも、ディフェンスも素晴らしかった。一緒に戦って、途中で投げ出さなかった。努力を注いだ。みんないいプレーをしたし、それがすべてだ。

 

【ハイライト動画リンク】

https://www.youtube.com/watch?v=SS_2NGHJ4e0


【おわりに】

内容も結果もよかったチャージャーズ戦。4勝4敗になって、シーズンの行方にファンとても欲が出てきてしまう展開です。ですが、コーチ陣も選手たちも来週のパンサーズ戦にすでに集中しているでしょう。勝利を持ち帰ってくれると期待して待ちたいと思います。

 

(week9のレビューはこちら↓)

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(こちらもどうぞ。マック・ジョーンズのドラフト直後の記者会見の一部です↓)

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