今まで、ほとんど根拠のない食わず嫌いみたいな感じで、ラグビーを見てこなかったけど、ワールドカップをきっかけにして、日本代表の試合を見た。
4試合のプール戦の直後に、感じたことをツイートしていたので、それを振り返って、まとめておきたい。
僕がプール戦直後にしたツイート
(日本代表の試合を見ました。ロシア戦、アイルランド戦、サモア戦、スコットランド戦を見ての感想やメモです)
NFLファンが、ほぼ前知識なしでラグビー見た感想
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) September 20, 2019
・面白い。
・レフリーがそんなに目立たないのはいいな。
・反則がわからないと、流れに乗りにくい。
・アメフトの「プレーを止めて、時計を止める」ってやっぱ発明だな。初心者でも状況が飲み込みやすい。
・ラガーマンかっこいい
ラグビーはアメフトファン取り込めるし、アメフトはラグビーファン取り込めると思いました。とりあえずの取っかかりとして、日本代表の試合はまた見たいと思いました。
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) September 20, 2019
NFLファンが、ほぼ前知識なしでラグビー見た感想②
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) September 28, 2019
・密集地帯で押し合う時(ジリジリとした我慢比べ)と、外に展開する時(技とスピード)の「緩急」がいいっすね。
サッカーやバスケ(プレーが動き続ける)とも、アメフトや野球(プレーが切れる)とも一味違う観戦のリズム。
・ボール付近の押し合いで有利になると、ペナルティ取れたり、外で数的優位作れたりする感じ?
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) September 28, 2019
・初めてフィールド見た時、「横幅が広い」って思ったんですけど、あれ、絶妙な広さですね。ちょうど「パワー」と「スピード」の両方が必要な感じ。
・やっぱり、面白い!
昨日の日本対アイルランド戦が、僕にとってはラグビー観戦2試合目だったんですけど。前半の最初のスクラムで、アイルランドがペナルティになった(つまり、事実上日本チームがスクラムで上回ったということですよね?)シーンの重みは何となく想像できました。選手たちの静かな興奮にグッときました。
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) September 28, 2019
「これだよ、まじかよ」
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) September 28, 2019
「こうなるって、わかってたんだよ」
「うぅぅぅ…ぅぅぉぉおおお!」
「やった、やってやった」
「いける、まじかよ、いけるぞ」
「そうだよ、そうなんだ」
みたいな思いが混ざった波動を感じました。
NFLファンが、ほぼ前知識なしでラグビー見た感想③
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) October 5, 2019
・「モールで押し込んでのトライ」とか、「ゴール前で守備が踏ん張っての無得点」とか、大好物。グっとくる。ビールがウマい(飲んでないけど)。
・ロスタイム(用語違いますよね)での4トライ目は最高のデザート。いや、〆で食うラーメンか。
・なかなか簡単にはゲインできないから、ペナルティがデカいのか。すると反則は避けたいから、そこまでレフリーが目立たない、のかな。
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) October 5, 2019
(サッカーなどで、「反則した方が得」みたいな場面がまあまあ多くあるのと比べて)
・今日の実況放送(地上波日テレ)カメラ寄り過ぎじゃないですかね?ボール周りだけ見ても、 「外に人数足りてるのかどうか」とかがわからないと、ドキドキしにくい。ロングへの切り替えのタイミングも遅い。「パス出してから切り替え」じゃなくて、「どこに出すのか?」とパスが出るより前に見たい。
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) October 5, 2019
(昔のサッカー中継で、中田ヒデがボールを持つとカメラが寄るので、「違うでしょ! 視野の広さがヒデの強みなんだから、むしろカメラは引かないと!」とかよく思ってたのを思い出しました)
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) October 5, 2019
NFLファンが、ほぼ前知識なしでラグビー見た感想④
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) October 13, 2019
・日本が28ー7とリードするまでの無双タイムでは、スピード×技×チームワークを堪能。全員がゾーンに入ってるみたいな運動量で、怖くなるほどでした。鍛錬を重ね準備、それが最重要の舞台で結実する興奮が、伝わってくるようでした。
・スコットランドが意地を見せ28-21となって、点数が膠着してからの時間帯は、それまでとは別の濃密さを味わえました。魂のぶつけ合い、魂の削り合いと言ったら陳腐でしょうか。最高でした。
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) October 13, 2019
.勇気をもらった時、僕は「感動をありがとう」とは言いません。その勇気を自分の中の種火にして、その時その時で自分がやるべきことをしていこう、と思います。そんな気分です。
— 鯖缶@NFL三昧 (@savacanNFL) October 13, 2019
(スポンサーリンク)
アメフトとラグビーはどう違うか
「アメフトとラグビーはどこが似ていて、どこが違うのか」みたいな話題になると、しばしばアメフトファンは、「全然違う」と言って、アメフトへの忠誠心(?)を表明するものだけど。僕も考えてみよう。
ラグビーを4試合見ただけの第一印象で答えると、「ほとんど同じ」という感じがする。というか、「同じ」と言ってもいい気がする。
そもそも前提として、よく似ているから比べるのだ。将棋とチェスはどこが違うか。人間とチンパンジーはどこが違うか。そんなの、「だいたい同じ」だ。よく似ているから、比べることができる。将棋とチンパンジーは比べられない。つまり、ラグビーとアメフトは同じ。
どのように似ているか。やっぱり、あの「楕円形のボール」だ。あの、「落とすとどっちにバウンドするかわからないボール」が、競技の性格を大きく決めていると思う。
もちろん、アメフトは前パスを取れずに落とした場合はそこでゲームが止まるので、ボールがどこにバウンドするのかはあまり関係ない。だけど、「ファンブルして落としたボールがどちらに転がるかわからない」というあの不条理感が、アメフトというスポーツの大きな魅力であることは間違いない。
キックもそうだ。狙ったところに蹴るのが難しい。ちょっと当たった場所が違うだけで軌道が変わってしまう(よく知らないけど)。アメフトもラグビーも、キックで決める3点が大きく勝負の行方を左右するけど、でもそこに「克服しきれない偶然性」が持ち込まれてるところが面白い。
そんな、「どっちに転がるかわからない運命」を象徴しているような楕円形のボールを、大男たちが愚直に運び、時には危険にさらし、時には相手から強引に奪おうとするなんて。「思い通りにならない人生」に、何とか打ち勝とうとして、やっぱりうまくいかずに、それでも挑戦をやめない姿そのものではないか。
そこにグッとくるという意味では、すくなくとも僕にとってアメフトとラグビーの観戦体験はとてもよく似ていた。
ならば、どこが違うか。実際にラグビーを見てみるまでに知識として知っていた違いは、「前パスの有無」である。ラグビーは前にパスするのが反則。アメフトは各攻撃機会に1度前パスが許されていて、それがアメフトの戦術の核だし、一番の見所、というような。
だけど、実際に見ての印象は、「前パスの有無は、そこまで大きな違いじゃない」と感じた(多分、僕のこの印象は少数派なんじゃないかとも想像するけど)。
ラグビーは、ボールを持って選手が突き進んで、その周りを味方が一緒になって押したりする。この、ボールの周りの密集での押し合いで勝てるなら、ただ愚直にそれを繰り返して少しずつ進んでいけばいい。相手の守備が密集地帯に人数を集めてきたら、横に大きく、早く、速く展開するのが有効になってくる。このラグビーの「密集と展開」は、アメフトの「ランとパス」に驚くほどよく似ていた。
ラグビーのフィールドは横に広い(※)。そこにどのように展開していくかが、アメフトのパスをどこに投げ込んでいくか、と観戦のリズムとしては同じ感覚。「ラン、ラン、ここでパスかよ」というような。(※ラグビーは100メートル×70メートル、アメフトは91.4メートル×48.8メートルぐらい。100メートル、100ヤードはゴールラインからゴールラインの距離です)
ならば、どこが一番違うか。「アメフトはプレーを区切る」だと思った。ダウン・バイ・コンタクト、パス不成功、あるいはアウト・オブ・バウンズに出たら、アメフトは一度プレーを止める。それで回数を数えて、「4回で10ヤード進めなかったらボールを保持権強制交代」という「ターン制」みたいなゲームを成立させる。
その点が、一番の違いだと感じた。アメフトのいいところは、プレーが止まることによって、状況が整理される。「あと1回で6ヤード進むにはどうしたらいいか」など、局面ごとのテーマがはっきりする。プレーの成功と失敗の違いが、目に見えて分かる。
テーマがはっきりすることで、「6ヤード進むには普通はパス狙い。でも、裏をかいてランもある。パスなら誰を狙うか。その狙いが読まれたら次の候補は?」というように見所も明確になる。
実は、この点がアメフトの最も特徴的なところなんじゃないか、と思った。プレーを止めて、局面ごとのテーマを明確にする。両チームは、そのテーマに合わせた選手をフィールドに送り出す。一度プレーを止めることによって、戦術を読み合う重要性が増す。そのプレーごとのレベルも上がる。
この点がラグビーの場合はもっと流動的なように感じた。プレーが止まらないので、(観戦の楽しみとしては)1つ1つの局面を味わうというよりは、「密集→密集→大きく展開→細かく展開」みたいに、組み合わせのリズムと流れを味わう感じ。
だから、「見所」を掴むのはラグビーの方が少し難しい気がする。プール3戦目の直後のツイートでも「カメラが寄りすぎ」「引きに切り替えるタイミングが遅い」と僕の感想をメモしていた。たとえば、フィールド中央でターンオーバーが起こって、一瞬攻守が混乱した時、僕はなるべくロングで、「サイドにパスが回った時に、守備の人数が足りているか」とかを見たい気がする。そのタイミングで画面がボールに寄ってしまうと、ハラハラできなくなる。
でも、どの画角が適切で、どのタイミングで切り替えたらいいか(つまり、プレーが「密集」になるか、「展開」になるかをどうやって把握したらいいか)は刻一刻と変わるので、恐らく正しく演出するのはかなり難しいのではないか(日テレは4戦目も中継していて、その時はとても見やすかったです)。
プレーが止まらないので、局面ごとの選手交代がない。アメフトはパントを蹴る場面も、蹴る人もほぼ決まってるけど、ラグビーはパントを蹴る場面、人、狙うパントの種類も場面ごとに変わってくる。
アメフトは1つのプレーを区切るので、何ヤードゲインしたか、ロスしたかでプレーの成否がはっきりわかる。ラグビーは、成功と失敗が渾然一体となった感じ。1つのプレーではっきり「大成功」とわかるようなプレーは簡単には生じない。
そんな感じがした。「エンターテイメント性」を重視したい人ならアメフトが好きになりそう。「ドキュメンタリー性」を重視したいならラグビーが好きになりそう。だけどそれもちょっとした風味の違いで、どちらの競技にも、エンターテイメント性もドキュメンタリー性も存分に含まれている。
以上、「食わず嫌いをやめて試しにラグビーを観戦してみたら大変面白かったです」というレポートでした。まだラグビーを見たことのないアメフトファンがいれば、一度ラグビーを見てほしいし、まだアメフトを見たことのないラグビーファンがいれば、一度アメフトを見てほしい。(ツイッターでは、「アイスホッケーもおすすめ」と複数の方から教えてもらいました。いつか試してみたいです)
質問、訂正、補足、リクエストなどがあればどうぞ遠慮なさらずコメントください。お答えできるかはわかりませんが、ブログのネタにもなりますので大変助かります!
(ツイッター、フォローお願いします↓)
(あわせてこちらもどうぞ↓)
(雑記ブログに書いたコラムです。こちらもどうぞ↓)
(↑みんな大好きアメフトボール。Amazonのリンクです)