NFLのドラフトで、スカウティングレポート(選手の長所や短所、特徴がまとめられたもの)などで使われる用語、表現について紹介します。面白い言い回しや、知らないと解釈が難しい表現など、個人的に面白いと思ったものを集めました。チェックしてみてください。(短い例文が見つかったものは、付け加えてあります)
- alligator arms:アリゲーター・アーム
- bend and burst:ベンド・アンド・バースト
- bubble/bubble butt:尻、ケツ
- click and close:クリック・アンド・クローズ
- cow on ice:カウ・オン・アイス
- dancing bear:ダンシングベア
- downhill runner:ダウンヒル・ランナー
- extra gear:エクストラギア(トップギアのさらに上のギア)
- fluid hips:フルーイド・ヒップ(しなやかな腰回り)
- glass eater:グラスイーター
- hands catcher:ハンズ・キャッチャー
- high-point catcher:ハイポイントキャッチャー
- JAG:並みの選手
- through the echo of the whistle:ホイッスルが響き終わるまで
- plug and play:即戦力
- sand in his pants:ズボンに砂を仕込んだ
- quicker than fast:スピードよりクイックネスに優れた
- tweener:トゥイーナー
alligator arms:アリゲーター・アーム
「ワニの腕」。ワニの足は体に比べ短い。「(ヒットがありそうな際に)ケガを恐れ、手をフルに伸ばしてボールをキャッチしようとしないレシーバー」の意味。
The term, alligator arms, refers to a specimen who won't extend his arms for a catch for fear of injury. (specimen:見本、標本)
アリゲーター・アームという用語は、ケガを恐れ腕を伸ばそうとしないタイプの選手のことをいう。
bend and burst:ベンド・アンド・バースト
bendは「曲がる・曲げる」、burstは「破裂する・破裂させる」、の意味。「柔軟性と爆発力」を頭文字がBの単語で並べて言う表現。体を柔軟に使ってOLをかわし、そこから加速してサックを決める能力を持ったパスラッシャーなどを評価しての言葉のようです。
The bend is what a pass-rusher does when turning the corner on an offensive lineman. The burst is the speed to close the deal. It combines a rusher's flexibility and leverage with speed.
(→)bendはパスラッシャーが(OLの)外側を回り込む時にしていることであり、burstは相手を仕留める速さだ。ラッシャーの柔軟性とスピードの活用を併せて言う。
bubble/bubble butt:尻、ケツ
bubble buttで「プリケツ」のような意味。それをさらに縮めてbubbleだけで言うことがあるようです。パワーの出せるラインマンを評価する時などに使います。ドラフト候補生を評価するときに、「尻」はよく出てくる言葉のようですが、あまり会議とかで使いすぎるのもよろしくない、と「bubble」だけで言う、という説明も見ました。
click and close:クリック・アンド・クローズ
clickはマウスのクリックと同じで、カチっとさせる。「ひらめく」など。closeは閉じる。NFL用語としては、主にDBの能力で「相手オフェンスを理解し、すばやくターン、自分の相手をシャットアウトする」ということを言います。
Click and close is the ability of a DB to read the flow of action while diagnosing the play and then attacking aggressively.(diagnose:診断する)
クリック・アンド・クローズは、相手のプレーを突き止め、動きの流れを読み、そして積極的にアタックするDBの能力を言う。
cow on ice:カウ・オン・アイス
「氷上の乳牛」の意味。フットワークとバランスが悪く、すぐダウンしてしまうQBなどを言う。
So clumsy in space, he's like a cow on ice.
スペースでの動きがぎこちない。彼は氷上の乳牛のようだ。
dancing bear:ダンシングベア
踊るクマ、の意味。つまり「動ける巨漢」。Ron McDoleというレジェンドDEのニックネームだったそうです。
A huge offensive or defensive lineman with the agility of a ballerina.
バレリーナの俊敏さを持つ、巨大なOLまたはDL。
downhill runner:ダウンヒル・ランナー
フィールドを横に広く使ったり、ブロックを待ったりするより、縦に直線的に突っ込んでいくイメージのパワー系RBを指す言葉。「north-south runner」もほぼ同義のようです。
Downhill runner or north-south runners take the handoff, run into the teeth of the defense, and get the ball downfield as quickly as possible.
ダウンヒル・ランナー、あるいはノース・サウス・ランナーは、ハンドオフを受けた後、ディフェンスに真正面から突っ込み、できるだけ早くボールをダウンフィールドに運ぼうとする。
extra gear:エクストラギア(トップギアのさらに上のギア)
相手ディフェンダーを振り切れるスピードを持っているような、足の速いWRやRBに対して使う言葉。
Only a few special athletes possess the proverbial extra gear. (proverbial:ことわざの、よく知られた)
数人の特別な選手だけがいわゆる「エクストラギア」を持っている。
Just when you think a receiver or running back has hit top speed, he slams on the afterburners and runs away from coverage.
WRやRBがトップスピードを出した時を想像して、彼(エクストラギアのある選手)はそこからアフターバーナーによってカバーを置き去りにする。(※afterburner=アフターバーナー。ジェットエンジンの)推力増大のための再燃焼装置)
fluid hips:フルーイド・ヒップ(しなやかな腰回り)
fluidは形容詞で「流れるような、流動性の、柔軟な」、(名詞で)「流体、体液」の意味。選手の評価で使う際、方向転換がスムーズなことを指します。DBやWRで重要。同義語はoily hips、反対語はtight hips。
能力値らしく言えば、「hip fluidity=腰周りのしなやかさ」と言えます。
Hip Fluidity is a key trait for CBs, allowing change of direction while maintaining balance, rotating his lower body quickly and mirroring quick cuts.
「腰周りのしなやかさ」はCBにとって重要な資質で、これがあることによりバランスを保ちながら(重心を動かす)方向を変え、下半身をすばやく回転させて(相手WRの)素早いカットについていくことができる。
glass eater:グラスイーター
ガラス、グラスを食べる者、の意味で、激しいプレーを身上にする選手。オフェンスラインの選手に対して言うことが多いようです。褒め言葉のようです。
A glass eater is a nasty offensive or defensive lineman who plays boarder line dirty but always hard and likes to finish the play with dominance of his opponent.
グラスイーターはOLかDLのタチの悪い選手で、ダーティーギリギリだが一方でいつも激しくプレーし、自分の対戦相手をぶちのめして終わるプレーが好きだ。
hands catcher:ハンズ・キャッチャー
手を使ってのキャッチができるWR。body catcherは「自分の体にボールが届くのを待つ」のに対し、hands catcherは自分から手を伸ばし、ボールを体にたくし入れようとするので、競り合いに強く高評価。
Instead of waiting for the ball to arrive and then trapping it against his body, a hands catcher consistently extends his arms to attack the ball and reel it in.
ボールが自分の体に届くのを待って抱え込むのではなく、ハンズキャッチャーは常に自分の腕を伸ばしでボールを争い、そして捕ったボールをたくし入れようとする。
He's a natural hands catcher and will win 50-50 balls.
彼は生まれ持ってのハンズ・キャッチャーで、フィフティー・フィフティーの競り合いに勝つだろう。
high-point catcher:ハイポイントキャッチャー
最高到達点の高いWR。
A high-point catcher excels at timing his jump to fully extend and snatch a pass high up in the air and out of a defender’s reach
ハイポイントキャッチャーは、手と体を最大に伸ばしてジャンプするタイミングに優れ、空中高く、ディフェンダーの手の届かない位置でパスをつかみ取る。
JAG:並みの選手
「Just a Guy」の略。
JAG is the term for an average at best athlete, meaning, "Just A Guy."
JAGはよくて平均レベルのアスリートのことで、「ただの男」の意味。
through the echo of the whistle:ホイッスルが響き終わるまで
スナップごとに、最後まで懸命にプレーすること。
He will compete through the echo of the whistle to try and get the ball out.
彼はホイッスルが響き終わるまで闘い、ボールを弾き出そうとする。
plug and play:即戦力
電化製品で、プラグをコンセントにつないだらすぐ使える、というイメージ。
sand in his pants:ズボンに砂を仕込んだ
DTなどで「どんなにブロッカーに押されてもビクともしない」選手に使う慣用句的な表現のようです)can grow roots(根っこを生やせる)も同じ意味。
He needs more sand in his pants.
(NFLで活躍するには)彼はもう少し重さとパワーが必要だ。
When you hear about a defensive line prospect with sand in his pants or one who can grow roots, it means he’s immovable once the ball gets snapped.
DLのドラフト候補について、「ズボンに砂を入れた」「根っこを生やせる」と評価する場合、それがボールがスナップされてから、彼を(押して)動かすことができない、という意味だ
quicker than fast:スピードよりクイックネスに優れた
(長い距離のトップスピードより、狭い場所でのすばやいターンなどのクイックネスに優れたタイプの選手の形容として)
tweener:トゥイーナー
複数ポジションができる選手。betweenのtweenにerをつけた単語。「LBとしては体が小さいがSとしては遅い」など「どっちつかず」というネガティブな意味合いもあったようですが、近年は選手を複数ポジションで使う戦術の流行もあり、ポジティブな意味で使うことが多いようです。
Tweeners are special athletes that may not necessarily fit solidly into any single position, but the team wants to keep them around because they can be easily inserted into multiple positions.
トゥイーナーは1つのポジションに必ずしもぴったり当てはまらない特別な選手のことで、複数のポジションで容易に使えるので、チームは彼らを重宝する。
【参照元】
この記事出てくる用語は、下記記事を参照して集めました。ぜひチェックしてみてください!
The NFL Draft Scouting Glossary - The Ringer
https://www.espn.com/nfl/draft2019/story/_/id/26416126/fluid-hips-cow-ice-just-guy-glass-eater-more
NFL Draft Football Lingo 101 - Gang Green Nation
【鯖缶より】
NFLにとって、ドラフトは1大イベント(2020年のドラフトを視聴してた人は初日(1巡目)の平均で1560万人らしいです)。多くの選手が指名されるといことは、それよりもかなり多く選手がチェックされるということ。各チームにとって、ドラフト候補生の正確な評価はドラフト戦略の生命線でしょう。多くの選手の強みと弱みが、短い言葉で、なるべく生き生きと伝わるように、いろんな言葉があるのかもしれません。参考になればうれしいです。
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