ペイトリオッツはホームにカウボーイズを迎え、苦しみながらも接戦に持ち込みましたが、オーバータイムで敗れました。これで今季は2勝4敗です。ホームでは4連敗です
カウボーイズは特に攻撃が好調で、オフェンスライン、QB、パス、ランとそれぞれタレントがおり、かみ合ってる印象です。今季のNFCの優勝候補の一角になりつつあるチームと渡り合ったことは収穫ですが、勝って終わるには至りませんでした。
【観戦メモ】
・というか、なんで接戦になったんだ?
試合トータルのラッシュヤードはDAL122、NE120で拮抗していましたが、パスヤード(445-229)、ファーストダウン(32-17)、ポゼッションタイム(39:17-26:51)ではそれぞれ圧倒された試合内容でした。なんで接戦になったのか、不思議と言えば不思議です。
エンドゾーンでのターンオーバー奪取(インターセプト、ファンブルフォース)が大きかったのと、カウボーイズはペナルティが痛かった(115ヤード喪失。NEは47ヤード)のでしょう。他にも、開幕のドライブでカウボーイズを4thダウンストップ、4QにはFGミスも誘いました。
NEにもミスはかなりあって(被サック&ファンブル、被インターセプト、被パントブロック)、ぼろ負けになってもおかしくない数字です。それでもオーバータイムになったのですから、アメフトの勝負の行方は分からないな、という試合でした。
・勝てるチャンスはあった
お互いが土俵を割らなかった終盤は、勝敗の分かれ目が連続して、面白かったですね。
20対21のペイトリオッツ1点リード、残り6分23秒のカウボーイズポゼッション。ここでペイトリオッツは追い詰められました。進軍を許し、残り時間を削られながらFG圏内に近づかれます。ペイトリオッツ陣内33ヤード地点での2nd&2。残り時間は3分46秒。ペイトリオッツのタイムアウトは残り1つだけでしたので、もう「ギリギリ」の状態です。
カウボーイズはRBポラードにボールを持たせ、しっかりファーストダウン更新に届く3ヤードゲイン。ペイトリオッツファンとしては、ほぼ負けを覚悟した瞬間です。しかし、カウボーイズオフェンスラインのホールディングで、10ヤード戻って時間も止まりました。
結局このドライブは、試合残り2分49秒で、51ヤードのFG失敗に終わるのですが、カウボーイズ目線で言えば「ホールディングさえなければ」と思わずにはいられなかったでしょう。
ペイトリオッツは1点リード、残り2分42秒でボールを得ました。今度は逆に、カウボーイズが土俵際です。ペイトリオッツとしては、「1回ファーストダウン更新したらだいたい勝ち」の状態。
ここで、ペイトリオッツはもちろん余裕ではありません。カウボーイズには3つオーバータイムが残っているので、3回ランで時間をつぶしても、カウボーイズに2分残ってしまう。3rdダウンまでに、どこかで「パス成功」が必要です。
ああ、「1st&10でプレーアクション」があっさり決められたら、どれほど楽なことでしょうか。カウボーイズ目線で言えば、ランでゲインされるのだけは絶対に防がなくてはいけない状態ですから、パス守備への比重はどうしても下げざるを得ないシチュエーションです。TEもFBも出して、あからさまにランを見せて、「ブロックから抜け出たTEに確率の高いパスを決める」。こう書けばいかにも簡単そうですが、これが実現しないのが勝負なのでしょう。
結局、1st&10はランでノーゲイン。2nd&10で痛恨のミスが出ます。ディレイ・オブ・ゲームのペナルティ。まったくの自滅的エラーで、「マック・ジョーンズもやはり新人だったか」と思わされた場面でした。
その次の2nd&15でのピック6、逆転されてからそのままリベンジの75ヤードTDとビッグプレーが続きましたが、「決められる時に勝ちを決めないと、何が起こるかわからない」ということでしょう。
・オーバータイムの4thダウン、パントなのかよ
ベリチックはオフェンスユニットに試合を託すことを避けている印象です。
2Q、ゴール手前1ヤード地点でのカウボーイズの1st&goal。ここから4回カウボーイズにTDを許さなかったのは神がかっていましたが、サードダウンでプレスコットのスニークを止めたあと、タイムアウトを取らなかった判断はどうでしょうか(かなり微妙で、たぶんTDだったようにも見えるシーンでした。でもボールが映ってるアングルがなかった)。
結果がストップでもTD決められていても、返しのオフェンスで点を取りたいならタイムアウトを取るところでしょう。4thダウンでファンブルフォース、その返しで20ヤード地点、残り1分30秒のポゼッションを得ました。ですが、ここから点を取りにいかず時間を流します。消極的に見えますがどうでしょうか。
4thダウンでギャンブルに出ることを避け続けました。3Q、3点負けてる状況での自陣46ヤード地点での4th&4。ここでのパントはどうでしょうか。
結局その後勝ちを拾いかけたのですから、采配ミスではなく、「勝算の薄い力関係を接戦に持ち込むため」の苦渋の判断なのかもしれません。(僕も個人的にはそんなに嫌いな選択じゃないです)
ですが、オーバータイムでの自陣46ヤード地点での4th&3はどうでしょうか。これは、シンプルに「GO」じゃないでしょうか。それまでのペイトリオッツディフェンスはエンドゾーンはよく守ってましたが、もはや「FGでも負け」という局面ですから、相手にボールを渡してはいけない場面に思えました。
・スティーヴンソン初TD
とはいえ、僕はベリチックがリーグでもトップクラスのHCであることは信じていて、HCがトップクラスなら遅かれ早かれチーム浮上の時は来る、とは思ってます。(なにしろ、今季はニュートンよりマック・ジョーンズを選んだというかなり大きなギャンブルに出ていて、それはいい判断だったんじゃないでしょうか)
その意味で、RBスティーヴンソンの活躍にも注目しています。今季のペイトリオッツはキープレーヤーのジェームズ・ホワイトがケガで離脱して、勝負どころでホワイトの不在をしばしば思い出す状況です。ボールデンも控えRBとしては理想的な戦力ですが、やっぱり物足りない。だとすると、どうしてもRBソニー・ミシェルをトレードで出した判断は失敗だったのでは、と思ってしまうのがファン心理というもの。
やはり僕としては、スティーヴンソンとテイラーの活躍を見て「やっぱりベリチックの判断は正解だった」と思いたいんです。今のところ思ってないのですが、できれば今季の後半ではそう思いたいな、と期待しています。この試合でスティーヴンソンの初TDが見られたのはうれしかったです。
【英文記事より】
(ペイトリオッツ公式サイト記事より。英文部分は引用です。訳は当ブログで用意しました。ぜひ引用元で全文をチェックしてください)
(最終盤にインターセプトとTDが連続する劇的なゲームを終わってマック・ジョーンズのコメント)
Yeah, I think that's the ebbs and flows of football. You've just got to play the next play and do your job to the best of your ability. I left some plays on the field, but it is what it is.
ああ、フットボールの潮の満ち引きだね。何があっても、ただ次のプレーに集中して、自分にできるベストを出そうと、自分の仕事をするしかない。僕はいくつかのプレーをフィールドに残してしまった(成功させられなかった)。悔しいけど、それが実際に起きたことだ。
In the NFL it takes maybe three or four bad plays and you lose the game. The margin of error is very slim, and I guess when I have that feeling that something might be going bad, just throw it away, call a time-out or figure it out and just try not to make a bad play worse, so I could have done that tonight better. I think the people around me played really well and we fought really hard, and sometimes you fall short.
NFLでは、たぶん3つか4つ悪いプレーをしたら、それで試合に負けることになる。ミスができる余地がかなり小さいんだ。もし僕が何かうまくいかないと感じたら、ボールを投げ捨てるなり、タイムアウトを取るなりして、悪いプレーをもっと悪い結果に結びつけないようにしないといけない。それができれば、今夜はもっといいプレーができたはずだった。周りの選手はとてもいいプレーをしたし、懸命に戦ったけど、それでも勝利に届かないことはある。
When you look at the big picture, you never want to say you're close, and it's hard to do that, but the games that we've lost we've been two or three plays away, and I guess it's just how the NFL works, and I'm learning that the hard way.
長期的な目で考えれば、惜しかったなんて言おうとしちゃいけないし、でもそう振る舞うのは難しい。僕らは2つか3つのプレーを成功させれば勝てたはずの試合が続いてる。でもそれがNFLなんだと、厳しく教えられた。そこから学んでるところだ。
【ハイライト動画リンク】
Cowboys vs. Patriots Week 6 Highlights | NFL 2021 - YouTube
【おわりに】
今季のこれまでを振り返ると、「開幕戦のドルフィンズ戦で勝てなかったのが痛かった」ということと、「テキサンズで勝てたのが助かった」という感じがします。もっとラッキーが集まれば4勝2敗になってたかもしれないし、もっと悪いことになってたかもしれない。「勝負どころで勝ちを拾ってくるチーム力」が試され続けるのがNFLだな、と再認識させる流れですし、それはこれからも続くでしょう。
もちろんそのことは、マック・ジョーンズは身に染みて分かっているようですね。
次週は引き続きホームでジェッツ戦です。week2で完勝した相手ではありますが、それだけに「負けたらヤバい」という、ファンとしては緊張して見る試合になりそうです。ぜひマック・ジョーンズに、ホームでの初勝利を味わってほしいのですが、どうなるでしょうか。
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