ペイトリオッツはSNFでバッカニアーズをホームに迎え、惜敗しました。56ヤードのFGに逆転の望みを託しましたが、アップライトに弾かれてゲームセット。手に触れるところ前近づいた勝利を、つかみ取ることはできませんでした。
ブレイディにとっては、通算パスヤード記録でブリーズを抜き、古巣のペイトリオッツに勝って「32球団に勝利」となった夜でした。苦しみながら勝って、感無量だったことでしょう。
【観戦メモ】
・NEディフェンス、上出来なのでは
開幕から好調を維持していたと言っていいタンパベイオフェンスに対し、我慢強く守って19点に抑えました。ペイトリオッツオフェンスが2度ターンオーバーを喫していたことを思えば、悪くない数字です。
1週前のセインツ戦でも、オフェンスが喫したピック6を除外して考えれば「21失点」なのですが、8点ビハインドでまだ勝負になる4Qのセインツポゼッションをズルズルと止められず、「たっぷり時間を使われて被TD」でしたから、「やられた」という印象でした。それに対し、この試合では勝負どころでTDを許さず、オフェンスにチャンスを託したわけで、かなり内容が違った気がします。
JCジャクソン対マイク・エバンス、ジョナサン・ジョーンズ対アントニオ・ブラウン、ジェイレン・ミルズ対クリス・ゴッドウィンになることが多かったようですが、リーグ屈指のWRユニットに、ペイトリオッツDB陣は負けてなかったのではないでしょうか。
「ギルモア抜きでどこまでやれるのか」に疑問符がついた状態でシーズンインしたNEディフェンス、セカンダリーですが、「やれる」と示した試合になった気がします。
・ランが出なさすぎでは
この日のペイトリオッツオフェンスのスタッツは驚きです。ラッシュが、トータル8回でマイナス1ヤード。これは、なかなか見たことがない数字です。「ランの弱いオフェンス」「ランに強いディフェンス」が対決したとしても、もう少し出るだろう、と。
面白かったのは、ここまでランが出なくても、「プレーアクションは使える」というところです。バッカニアーズはランデイフェンスに自信を持ってますし、プライドも持ってるでしょう。だから、やっぱりランは「その場で潰したい」という欲があるような気がします。
いずれにせよ、ペイトリオッツオフェンスとしてはランゲームそのものが「伸びしろ」状態なので、テイラーなのか、スティーヴンソンなのか、オフェンスラインなのかはわかりませんが、奮起を期待したいところです。
・56ヤードFGか、4thダウンギャンブルか、それが問題だ。
4Q残り59秒、バッカニアーズ陣内38ヤードでの4th&3。ベリチックはFGトライを選択しました。結果を見れば単に失敗だったわけですが、僕は2つのことを思いました。
「ベリチック、ニック・フォークを意外と信頼してるのか」と。あの状況でFGを蹴らせるべきかどうか、というアナリティクスの議論は面白くて僕も好きなんですが、一方で、「確率なんてどっちでもいい」ともよく思います。つまり、「56ヤードのFGを決める自信がある」のであれば、シンプルにそれを選択するのが一番勝算が高いでしょう(逆に、自信がないなら45ヤードでも蹴るべきじゃないわけで)。
結果は失敗でそれは仕方がありませんが、少なくとも「決まるかも」という運ゲーではなく、「決まるはずだ」と信じでフォークを送り出したはずです。僕はベリチックの判断が常に100%正しいとはもちろん思いませんが、「長い目で見れば、ベリチックの判断は正しいことが多かったし、それは今後もそうだろう」と思ってます。ベリチックがフォークに信頼を置いている状況は悪くないのでは、と思いました、
もう1つは、「だとしても、マック・ジョーンズに4th&3を託すべきなのでは?」と。マック・ジョーンズはこの日パス40本中31本成功。雨の中、トム・ブレイディを上回ってたと言っても言い過ぎではない内容でした。マック・ジョーンズに勝負を託しても、文句を言う選手もファンもいなかったでしょう。
僕は、「チームがマックを勝たせる」ことをもちろん望んでますし、ペイトリオッツにはそれができるはず、とも思いたい。でもひょっとしたら、マック・ジョーンズは「チームに勝たせてもらう」だけでなく「チームを勝たせる」ことのできる「器」なのでは、と思うのです。
十分とは言えないパスプロテクション、まったく出ないランという新人QBには酷な状況で、しっかり攻撃を組み立てました。2QのTDドライブでは、1st&20を2度くぐり抜けて攻撃をつなげるなど、流れの悪さや不利なシチュエーションでも崩れないメンタルの強さを見せました。もちろん、まだ彼のこれからを楽観視できるほどの結果は出していないかもしれませんが、少なくとも「フランチャイズQBになれる雰囲気」は持ってる。
近い将来、同じ状況でマック・ジョーンズをフィールドに残すシーンが見られる気がします。
・バッカニアーズ、DB陣の受難は続く…
CBシャーマン、出来はどうだったでしょうか? 契約していきなり先発(ほぼずっと出ていたように思います)したのはさすがですし、RACを出させない確実なタックルを見せてくれました。スタッツは「7タックル、1ファンブルリカバー」。ですが、このタックルの多さは逆に言うと「狙われていた」からです。パスディフェンスが1つでもあれば印象は違ったのでしょうが。
それにしても、合流したばかりのシャーマンを「ぶっつけ本番」で使うほどバッカニアーズのCB事情は逼迫してるのに、この試合でもCBカールトン・デービス、Sアントワン・ウィンフィールドが途中退場しました。フットボールの神様もなかなか意地悪な采配をしますね。回復を願います。
【ツイート貼り付け】
ブレイディの通算ヤードは、グロンク37181人分、ヤギ(GOAT)74363頭分らしい…
.@TomBrady's record in perspective... 😯 pic.twitter.com/vS7nATdaFm
— Tampa Bay Buccaneers (@Buccaneers) October 4, 2021
WRジャコビー・マイヤーズのナイスパス。高校時代QBの経験があるらしい。
JaQB Meyers.@jkbmyrs5 | #ForeverNE
— New England Patriots (@Patriots) October 4, 2021
📺: @SNFonNBC / Patriots app pic.twitter.com/YEEwD0SqUP
【ハイライト動画リンク】
https://www.youtube.com/watch?v=y3VebhRs0GQ
【おわりに】
僕にとって、初めてブレイディの負けを願う試合になったこの試合。不思議な感慨がありました。スタジアムの雰囲気もそんな感じ。ブレイディが入ってきて、歓声70%、ブーイング30%。
パスを通したあと、次のスナップ地点まで歩くブレイディがカッコよくて好きで、彼がパスを投げると条件反射でパス成功を願ってしまいました。その一方で、ジュドンがブレイディにサックを決めた時には思わず拳を握り締めました。
「たられば」を1つ言えば、最後のニック・フォークのFGが決まったとしたら、そのあとのバッカニアーズの攻撃を見たかった、残り55秒、タイムアウト2つ、1点差。そこから逆転ドライブをブレイディが演出するか。それともペイトリオッツディフェンスがそれを止めるか。僕の心臓がそれに耐え切れたかは分かりませんが、もし実現すれば究極のシチュエーションだった気がします。
また来週からはペイトリオッツはもちろん、バッカニアーズをシンプルに応援できるかと思うと楽しみです。(今週は疲れました)
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