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【NFCチャンピオンシップ】バッカニアーズ対パッカーズ感想

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NFCチャンピオンシップ、タンパベイ・バッカニアーズ対グリーンベイ・パッカーズは、31対26で決着しました。試合を見て、僕が印象に残ったシーンが2つあります。よろしければ一緒に振り返りましょう。


1つ目は、前半終了間際の、「バッカニアーズTDに至る試合の流れ」です。このシーンに、「勝負のあや」というか「運命の皮肉」のようなものを僕は感じました。


試合の結果を大きく左右した7点であり、得点を許したパッカーズディフェンスとしては痛恨のミス。一瞬の隙を見逃さなかったブレイディとしては会心のロングパスだったと思います。


ですが、このTDパスに至るまでのバックスのクロックマネジメントはややチグハグで、「してやったり」というよりは、「偶然7点取れた」に近かったような気がするのです。


時間軸を追って振り返ってみましょう。2Q残り2分10秒でボールの保持権はパッカーズに移ります。この時点で得点はTB14対GB10でした。バッカニアーズとしては4点リードでしたが、後半がパッカーズのレシーブから始まることを考えれば、有利とは言えない程度の形勢です。


パッカーズは自陣13ヤード地点からの攻撃開始。ラン、ショートパスとバックス守備はしっかりタックルして、17ヤード地点での3rd&6の状況をロジャースに強います。セカンドダウンのタックルが決まった時点で残り1分53秒。


ここで、ブルース・エリアンズは残り3つあったタイムアウトを取りません。僕は、「消極的だな」と思いました。「17ヤード地点での3rd&6」は、いくらロジャースといえどもプレッシャーを感じるシチュエーションのはずで、もしサードダウンで攻撃を止めることができれば、バックスにとっては大チャンス。時間を残すためにタイムアウトを使ってもいい状況に思えました。


もちろん、時間を止めるのは「諸刃の剣」で、サードダウンを更新された場合にはロジャースにより多くの時間を残してしまうことになるので、リードしているバックスが慎重策を選ぶのは悪いことではありません。


ただ、パッカーズとしてもタイムアウトを取られた方が嫌だったのではないでしょうか。ロジャースは次のスナップをプレークロックギリギリまで時間を使っています。「もし止められた場合にはバックスになるべく時間を残したくない」というのが、マット・ラフルアの本音だったような気がします。


次のプレーで23ヤードのパスが通り、パッカーズは40ヤード地点まで進みます。ここでもパッカーズは時間を多めに使い、残り40秒でスナップ。JPPがロジャースからサックを奪います。ここでバックスはタイムアウト。2nd&15の状況ですから当然のタイムアウトにも思えますが、残り時間は34秒。


どうでしょうか。ちょっとチグハグなクロックマネジメントじゃないでしょうか。残り時間が34秒になってから時計を止めても、効果は薄いような気がします。バックスの有利に働くケースよりもパッカーズ有利に働くケースの方が多いのでは、とも思えます。


結果的に、次のプレーがINTになったのでこのタイムアウトは功を奏しました。残り28秒、バックス陣内49ヤード地点でブレイディはボールを手にします。タイムアウトは残り2つ。


その3プレー後、パッカーズ陣内45ヤード地点での4th&3で、残りは13秒。サードダウンのプレーがパス不成功のためゲームクロックは止まっている状態です。ここで、ちょっと奇妙なことが起きました。パントチームがフィールドに居る状況でタイムアウトがコールされ、一度フィールドの外に出たはずのブレイディが、再びフィールドに戻ったのです。


とにかく変な流れです。ギャンブルに出る判断は大胆ではあるものの十分考えられる選択かもしれません。でも、それならタイムアウトを取る前に判断しなければおかしいはずです。残りタイムアウトが1つと2つでは得点の可能性が全然違います。


そして4th&3。フォーネットへのショートパスが通り、ファーストダウンは更新したもの、アウトオブバーンズには出られず、バックスは最後のタイムアウトを消費します。パッカーズ陣内39ヤード地点で、残り6秒。FGを狙うなら57ヤードで、サカップのシーズンロング(50ヤード)、キャリアロング(54ヤード)よりも長い距離です(もちろん、実際に蹴れば決まるかもしれません)。


何というか、奇妙な流れだと思いませんか。「14対10の4点リードのまま前半終了」という確実な利益確定を捨てて、4thダウンギャンブルまでしたのに、「39ヤード地点で残り6秒、タイムアウトなし」というゲインでは割に合わない取引に思えるのです。


この奇妙な1スナップで、バックスは何ができるでしょうか、と思ってたところでスコッティ・ミラーへの美しいパスが通ります。なんという不条理な感触の残る前半終了でしょう。お世辞にもいいクロックマネジメントをしたとは言えないバッカニアーズが、「残り1秒でTD成功」という「最高の結果オーライ」を手にしたのですから、「勝負のあや」を感じずにはいられません。

 

「積み上げたナイスプレーが1つのミスで台無しになる」のも、「うまくいかなかったプレーの連続が、1つのナイスプレーで結果オーライになる」のも、アメフトという「理論と不条理のつばぜり合い」という魅力の一部だなあ、と感じたシーンでした。


(試合のハイライトの動画を貼り付けておきます、YouTubeに飛べば見られるはずです↓)

Buccaneers vs. Packers NFC Championship Game Highlights | NFL 2020 Playoffs - YouTube


もう1つ印象に残ったシーンは、4Q残り4分48秒のスナップで、ブレイディがボールを投げ捨てたシーンです。


得点はTB28対GB23点の5点リード。一時は18点あったリードを5点まで縮められています。ブレイディは3ドライブ連続でインターセプトを喫していました。敵陣に投げ込んでのインターセプトのため致命傷には至っていませんが、「ディフェンスが踏ん張っているのにオフェンスがリードを広げられない状況」でした。残り8分10秒、自陣27ヤードでボールを保持したバッカニアーズは、2回ファーストダウンを更新し、パッカーズ陣内38ヤードまで進軍して3rd&8を迎えていました。


このスナップで、ブレイディはボールを受けた直後に、「まったく躊躇することなく」プレーを捨てたのです。たしかにスナップはやや左にずれていました。一瞬ディフェンスから視線を外して、「イヤな予感」がしたのかもしれません。WRかラインマンの動きに、予定外のミスコミュニケーションがあったのかもしれません。おそらく、あの投げ捨てはQBとしてはリーズナブルな選択なのでしょう。


でも、あの「躊躇のなさ」には驚きました。オフェンスの失敗を認めるのに、判断が早すぎる。ブレイディには、後半で3つのINTがありました。そして、このサードダウンの前のセカンドダウンでのパス(ゴッドウィンに投げたが不成功)は、解説のエイクマンに「この試合でワースト」と言われたスローでした。パスプロテクションが十分に保たれ、プレーアクションがタイミングよく決まり、ゴッドウィンも十分にセパレーションを得ている、というシチュエーションでのブレイディ個人のシンプルなコントロールミス。その直後のプレーが「投げ捨て」だったのです。


「TDまでいけばほぼ勝ち確定」という状況で、ブレイディには「ここで決めたい」「連続した自分のミスを取り返したい」という欲があったはずです(極端な負けず嫌いでなければもう引退してるはずでしょう)。


にも関わらず、スナップ直後に一瞬で失敗を認めてボールを捨てたのです。「土壇場になると正しい判断が瞬間的にできるモードにオートで切り替わる」という、ある意味最もブレイディらしい「凄み」を感じさせたシーンでした。

 

以上で僕の印象に残った2つのシーンの振り返りは終わります。ズブの素人の僕が、自分の見解を語って意味があるのかな、とも少し思ったのですが、「プレーを止めて状況を明確にすることで、初心者にも見所をわかりやすくする」というのが「観るスポーツ」としてのアメフトの面白さだと思うので、初心者なりに「僕はこうやって観戦を楽しんだ」というエッセイを残してみました。


「ハイライトにはたぶん残らない試合の見所」が伝わったら嬉しいです。気が向いたらまた書きます。

 

 

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